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対談:今、必要な「危機管理」とは。

(2017年4月)P.2

―7つの危機―

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金重先生 一言で言えば、企業の危機管理について支援をする仕事です。今日のような激動・混迷の時代にあって、日本企業は様々な危機に直面する環境下で仕事をしていると言っていいでしょう。私は、今、様々な危機を7つに分けています。 すなわち、

  • 企業の不祥事をはじめとする重大事件
  • 爆発事故のような重大事故
  • 首都直下地震のような自然災害
  • 新型インフルエンザやSARSなどの広域感染症
  • 標的型メールやDDoS攻撃などによる情報漏洩やシステム破壊等のサイバー攻撃
  • 外国政府による武力攻撃やテロリスト集団によるテロ等の国家緊急事態
  • 反日運動、クーデターなどの海外の暴力的政治対立によって生じる被害・損失

です。

この7つの危機に対して、企業がどのような対処策を取ればよいかを助言・アドバイスする仕事、つまり総合的な危機管理に関する経営コンサルティングです。これまでも数多くの企業の危機管理を指導してきました。 具体的には、

  • 個人情報漏洩事案の防止、暴排条例の施行に伴う各企業等の取り組みやIPO支援のためのコンプライアンス体制強化コンサルティング
  • 海外進出企業のためのテロ対策などのコンサルティング
  • エセ右翼の街宣車による企業攻撃などの警備コンサルティング
  • 株主総会の各種対策コンサルティング
  • 震災対策・新型インフルエンザ対策などの危機対応コンサルティング
  • 危機広報コンサルティングなど
  • 企業防衛の有効な手段としての企業信用調査、企業防犯診断・警備診断コンサルティング
  • テロ対策などの海外事情調査
  • コンプライアンス違反などの企業不祥事防止のための内部統制システム構築コンサルティング
  • 当社主催のセミナー等や企業内の取締役会メンバー、幹部社員等受講対象別のセミナーや講演

などです。
なお、私個人としては、上場、非上場は問わず、企業の第三者委員会の委員、社外取締役、社外監査役、企業内コンプライアンス委員会の委員などの依頼が多いですね。また、最近では国際テロに関する講演依頼も増えています。

片山 金重先生の分析を伺っていると、企業が直面する危機がいかに多岐にわたっているかがとてもよくわかります。
ところで、私ども経営者として、企業はどのような経営戦略を持たなければならないのかについて、危機管理経営という観点からアドバイスをいただけますか?

―循環型危機管理経営という考え方―

金重先生 そうですね。危機管理は健康管理と一緒です。風邪をひいたら風邪薬を飲みます。誰でもそうされるでしょう?これは対症療法ということですね。本当は風邪をひかない強い体質を作らなければなりません。つまり、原因療法=体質強化策がもっと大切なんです。企業の危機管理も同じです。まずは危機が発生する前段階の「事前対策」です。危機に強い企業を作らなければなりません。企業体質の強化です。これは、言わば病気にならないためのものですね。しかし、それでも危機が発生することがあります。これは「応急対策」の段階です。病気になってしまったときの対処ですね。この段階では対症療法をとらざるを得ませんが、事前に体質改善が図られていれば、被害は最小限にとどめることができます。

応急対策が一段落(収束)した段階で、すべての対策が終わりということではなく、将来同じような危機を再発させないため、あるいは発生しても被害を最小限にとどめることができるように、発生した事案の反省教訓に基づいて「事後対策」が必要になってきます。これは、風邪が治った時に、また風邪になったら大変だから体質改善しようじゃないかという段階ですね。事後対策を立てておくということは、次の事案発生の防止や被害最少化、つまり次の「事前対策」につながりますよね。

このように、危機管理は3つの段階を踏んで対処していく必要があります。この事後対策が次の事前対策につながるということで、私はこれを『循環型危機管理経営』という言い方をしています。これは、私独自の考え方ではなく、アメリカ政府関係機関等が危機管理に対処するときの考え方です。

片山 危機管理における先見性と事前対策ということですね。私は、常々信条としている言葉があります。それは、「段取り八分」ということです。企業活動の成否は、事前の準備で決まるということです。危機管理も同じなんですね。

ところで、コンプライアンスということがよく言われる時代ですが、これからの企業倫理、そして企業倫理に基づいた企業のあり方とは、どのようなものだとお考えですか?

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