私たちは何のためにビジネスをし、何のために自分の仕事に一日の大半を費やしているのか?
いま、本当に問い直さなければならないことは、この原点なのではないでしょうか。18世紀から19世紀にかけてイギリスで起こった産業革命以来、世界は飛躍的に近代化してきました。つまり、農業主体の産業から工業主体の産業へと時代は大きくシフトしたのです。その中で仕事は単に食糧を得るための行為ではなく、「より良い社会」を創り上げて行くための行為として、その意義を大きくさせたことは間違いないでしょう。仕事は「国づくり」「社会づくり」という大義を共有したものだったはずです。
しかし、21世紀になって、私たちはいま新たな状況に直面しています。一所懸命に仕事をすることが本当に「より良い社会」を創り上げて行っているのか、という問題です。企業が収益を上げることだけに邁進し、企業活動が社会にどのような影響を及ぼしているのかを検証しない風潮が、いつの間にか出来上がってしまった感じがします。ビジネスが単に収益を上げるための競争原理に晒され、「敗者は退場すべし」という言葉が公然と語られる中で、本当は社会にとって失ってはいけない価値までもが淘汰されて行ったのではないでしょうか。その結果、それまでは考えられなかったような様々な社会問題が浮上してきています。
いま起きていることの本質を、JASBCOは「循環しない社会」と受け止めています。例えば、子供の教育にかかるコストに関して、文科省の試算をベースにすると、(1)幼稚園から大学まで全て公立の場合で学費だけで約1,100万円。(2)幼稚園から大学まで全て私立の場合で約2,500万円かかるとされています。これに塾などの費用をプラスすると家庭が負担する教育費はさらにアップするでしょう。しかし、こうして大学まで出ても就職出来ずに社会参加できないヒトたちが増え続けている現状があるのです。そして、仕事に就けずに定収入の道がないヒトたちは、結婚も出来ず家庭も作れない状況に追いやられれば、次世代を育成するという「ヒトの循環」はここで止まってしまうことになります。
循環型社会という言葉が提唱されてはいますが、それはエコロジーとかリサイクルというような極めて表層的な意味でしか使われていないように思います。本当に循環しなければならないのはヒトであり「世代」であって、より良い社会を創り上げていくための次の担い手を繋いでいくことに他なりません。
これからは、拝金主義的な経済社会のあり方や、その中で事業を展開する企業のあり方をもう一度問い直すべき時代に突入したと言えるでしょう。
JASBCOは本当の意味での循環型社会を目指して、「ヒト」を活かし、社会を潤わせるためのソーシャルビジネスを多角的に提案できる企業でありたいと考えています。