1980年代から現在に至るまで広告写真業界の第一線で活躍する写真家で、公益社団法人日本広告写真家協会(APA)会長の白鳥真太郎さんと、片山代表が対談。 これからの時代に「写真」が果たす役割について、率直な意見交換が行なわれました。
(2014年1月)P.1
片山「本日はお忙しい中お越し頂き、誠にありがとうございます。
白鳥会長のご高名は方々から伺っており、こういった対談の機会が持てたことをたいへんうれしく思っております。
さて、僭越ですが、まず私自身のことをお話させていただきます。私が生まれた家は、祖父の代からいろいろな事業を行っていました。その中に映画館の経営があり、私は小さい頃から映画に親しんできました。まあ、いわば日本版ニューシネマパラダイスですよね(笑)そんなわけで、私はことのほか映像や写真が好きなんです。
それともうひとつ、現在の私自身の経営哲学というか、考え方の礎となった出来事があります。22年間にわたる父の介護と、あの阪神淡路大震災です。」
白鳥会長「はい。実は片山会長の著書を読ませていただき、相当なご苦労をなさったのだと感心しておりました。」
片山「父の介護が始まったのが、まだ遊びたい盛りの20代前半でした。そして、働き盛りの30代後半に体験した大震災。このふたつの出来事は、私にとって本当に大きな教訓になりました。」
白鳥会長「その体験がいまの経営理念に反映されていると著書に書かれておられましたね。」
片山 「その通りです。 結論から申しますと、人を救うことが出来るのは、やはり人なんだということを思い知りました。 私は事業家ですから、人を救うことが出来る経営者になろうと決心しました。 人を救うといえば少し大げさに聞こえますが、実は、言い換えれば人に希望を与えることなのかも知れません。 利益を追求することは企業としての一つの使命なのでありますが、利益を追求するために企業があるのではなく、企業は地域や社会に貢献し、社員達の生活を守るために利益を追求することが必要となるのです。社会に役立つということが、まずありきだと思います。そうした企業姿勢こそが、人に希望を与えられるのだと思うのです。前置きが長くなってしまいましたが、私は、一枚の写真には人に希望を与える力があると信じています。」
白鳥会長 「その通りですね。 優れた写真には人の心を揺り動かす力があります。」
片山 「フランスにアルベール・カーンという人物がいました。 20世紀初頭、私財を投じ世界中にプロのカメラマンを派遣し、当時のありのままの姿を 撮らせた実業家です。」
白鳥会長 「はい。私もよく知っています。」
片山 「アルベール・カーンは、世界の平和を実現するためには互いをよく理解することが必要だと 考えたのですね。 また、いまという瞬間を画像に記録することの大切さを知っていた人物でした。 実は、弊社はパリにあるアルベール・カーン美術館とご縁がありまして、 数年前になりますが社員を現地に赴かせ、 写真が持つ力について勉強をさせたことがありました。」
白鳥会長 「片山会長のように、写真への深い理解をお持ちの方の存在は、 私たち写真家にとって本当にありがたいことです。」 次へ>>