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対談:「写真」を「希望」に、「未来」へつなぐ。

(2014年1月)P.3

片山 「しかし、時代は勝手に便利な方向に進んでいきますからね。」

白鳥会長 「私は、昔はよかったなどと言う気はまったくありません。 現に、私自身作品づくりにインターネットの便利さを大いに活用させてもらっています。 私は現在、私と同世代でいまなお輝きを放っている人たちの写真を撮り、それを作品集にするべく活動を続けているのですが、たとえば、写真を撮るために初めてお目にかかる人に関しては、インターネットの情報がずいぶんと役に立っています。 事前に、この方にはこんな趣味があるとか、予備知識があることで初対面の人ともすぐに打ち解けることが出来ますからね。」

片山 「情報の氾濫に問題があるのではなく、それらの情報を処理する人間次第で、生きた情報、無駄な情報と選別され、有効に活用されていくということですね。 白鳥会長のお話を伺っていて、写真はシャッターを押せば誰にでも撮れるものですが、誰がシャッターを押すのかが本当はとても重要なのだと思いました。 ますます写真に興味がわいてきます。」

白鳥会長 「現在、APA(公益社団法人日本広告写真家協会)では、活動の一環で、プロの写真家たちによる小中学校での授業を行なっています。 文部科学省のお墨付きをいただいている活動で、美術の授業に写真撮影を取り入れています。 授業では、子どもたちに実際に写真を撮らせ発表してもらうのですが、その中に絶対的な美のようなものを発見することがあります。」

片山 「それはすばらしいことですね。 小さい頃の情操教育はとても大切なことだと思います。」

白鳥会長 「子どもたちの感性は侮れないものがあります。 一年に一度、『APAアワード』 と共催で 『全国学校図工・美術写真公募展』 という子どもたちが撮った写真のコンテストを行っているのですが、私たちプロがドキッとする写真に出会うことがありますね。」

片山 「昔のような難しい写真の技術はいまのカメラには必要ないわけで、子どもたちは自分の感性のおもむくままに写真を撮ればいいわけですね。 そのようにして子どもたちの感性が磨かれていくという現実は、デジカメなどが進歩したいまの時代ならではの恩恵ですね。」

復興支援に写真の力を

片山 「写真の力についてお聞きしたいのですが、たった一枚の写真がものすごく力を持っていて人に大きな影響を与えることがありますよね。 実は、それが写真の怖さでもある。 写真は、撮影する人やそれを使用する人のモラルによって影響力が変わるいわば諸刃の剣のような側面があると思います。 先の東日本大震災に関しても、私は、プライバシーを無視したような悲惨な状況ばかりを見せるのではなく、写真の力をもっと上手く使って復興のために何か出来ないだろうかと考えているのですが・・・。」

白鳥会長 「それに関しては、私もたくさん相談をいただきました。 どうしたら被災者の方々が復興へのモチベーションを保てるのか、被災者以外の人たちが共感を持って、持続して東北へ目を向けることができるのだろうか・・・。 それを写真というツールを使って行なうにはどうしたらよいのか・・・と。 報道するという写真の使命を背負って、被災地の状況をいち早く全世界に発信したことで、支援の輪が広がったのは写真の力によるものが大きいと思います。 しかし、これから写真家および写真そのものが、継続的に何が出来るのかということは非常に難しいテーマですね。 いま、写真家の写真を売って得た収益金をボランティア資金として送るというひとつの運動があって、私も作品を提供しているのですが、もっと根本的に復興を支援出来るような写真の在り方として何があるのか、私自身も考えているところです。」 次へ>>

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